忍者ブログ
好きなものを好きなだけ
[1] [26] [25] [24] [23] [22] [21] [20] [19] [18] [17]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

04です。いつもに増して王子がひどい男です。むん。
あとぬるいですがR-18です。



王子様を手に入れる方法
(4.さよなら)



その日は、めずらしくジーノが椿を待っていた。  
いつもなら、椿がロッカールームや駐車場でジーノを待つのが常だったが、今日は出ようとしたところで、椿が達海に捕まってしまったのだ。おそらく、今日のパスミスのことで説教でもされるのだろう。  
焦ったようにこちらを見つめる椿に、駐車場で待ってるから、と告げたのが一時間前。
(そろそろ帰っちゃおうかなぁ)などという思いが出てくるのも当然だろう。けれども、エンジンに手をかける気には不思議とならなった。
椿はどんな顔して出てくるのだろう。青い顔して、泣きそうになりながら飛び出してくるだろうか。そう考えるともう少し待っててあげてもいい気がした。

それから十分ほどたっただろうか。想像どおり椿が慌てた様子で、クラブハウスからこちらに駆けてくるのが見えた。そんなに慌てなくてもいいのに、くすくす笑いながらエンジンをかけようとした時、椿の足が止まった。
ファンの女の子が出てきたのだ。突然3人の女の子に囲まれて椿は戸惑っているようだが、それでもサインや握手を求められ、どこか嬉しそうな様子で応えている。  
3人のうちの1人は本当に椿のファンの様で、今にも泣き出しそうな真っ赤な顔をして、何かプレゼントを渡している。なかなかかわいい子だ。小さくて、髪が長くて、子リスみたいな瞳をしている。  
きっと椿と並べば、しっくりとくるカップルに見えるだろう。  

そう想像して、ジーノの胸の中に湧いたのはなぜか罪悪感だった。
もしこの時抱いたのが、ただの嫉妬であったのなら、椿も、そしてジーノも救われただろう。

「そろそろ潮時かな」

女の子たちに手を振って、こちらへ向かってくる椿を見つめながらジーノはそっと呟いた。


「んっふっ」

腰を深く進めればくぐもった喘ぎが椿の唇からもれた。目の前の背中をそっとなぞる。指の動きにすら感じるのか、肩が ぴくぴくと跳ねた。今までのセックスで知った、椿の感じるところから微妙にずらしてゆったり腰を振る。  

「あ、ぁ、意地悪、しないで」
「どうして欲しいの」
「もっと、激しく、あっ、してください」  

椿は快楽に正直だ。というよりジーノがそう仕込んだという方が正しいだろう。曖昧な表現では、欲しいものなど手に入れられないということを、このベットの上で教え込んだのだ。  
望み通り、強くイイトコロを抉ってやると、高い悲鳴のような声をあげ、あとはもう喘ぐだけだ。
ガクガクと揺れる腰に合わせて、椿の背中も揺れる。

「イッていいよ」
「や、あ、あぁ、あっ」
「ん……っ」

揺れに合わせて椿自身を握り、擦ってやれば、ビクリと身体を痙攣させ、あっけなく白濁を吐き出した。とたんに締め付けられ、たまらなくなり、ジーノは激しく突き上げ、そのまま椿の奥深くで果てた。


「さっき何もらってたの」
「え?」

まだベットの上でぐったりとしている椿に問いかける。

「さっき駐車場で女の子に何かもらってたでしょ?」
「あ、……見てたんですか?」
「まぁ、そりゃね。なかなかかわいい子だったね」
「え、あ、その」

気まずげに戸惑う椿をクスリと笑って、ジーノはベットサイドの水に手を伸ばし、ごくりと口に含む。

「飲む?」
「あっ、頂きます」
「バッキーはさ、女の子とセックスしたことあるの?」
「ぶ、ごっほ、なんす、か、いきなり」

椿が水を口に含んだのを確認してから問いかければ、彼は予想どおり激しくむせこんだ。  

「その様子じゃ、なさそうだね」
「……う、うす」

顔を赤くして頷く椿を見て、再び胸に罪悪感が湧き出るのを感じる。

「バッキーはさ、いいの?このままで」
「え……?」
「女の子とのエッチって全然違うんだよ、やわらかくて、包み込まれる感じ。それを経験しないまま、男に突っ込まれてあんあん言わされてるなんて嫌じゃないの?」
「そんなこと……」
「きっと後悔するよ」

ないです、と椿が言うよりも早くジーノが断言する。
女の子と一緒にいる椿を見て、なんだか彼の未来が見えた気がした。
きっと椿は将来かわいい女の子と出会って、本当の恋をして、結婚して、幸せになるのだ。その時、自分との関係を椿はどう思うのだろう?汚点?消したい過去?
くくっと口の中から乾いた笑いが漏れる。
もしかしたらその時、捨てないでくれと縋りつくのは自分の方かもしれない。  
ならば、傷は浅い方がいいだろう。椿にとっても。そして、己にとっても。

「さよならしようか」
「え?」

ジーノの突然の言葉に、椿はサッと顔を青くする。

「や、嫌です。何でもします。何されてもいいです、やだ、嫌わないでください」

カタカタ震え、涙をこぼす椿を見て、ジーノは胸がズキズキと痛むのを感じる。
思ったより椿にはまってしまっている自分に少し驚く。このまま抱きしめて、何もなかったように再び抱き合うことだって可能だ。
それでも、

「シャワー浴びたら、帰りな。」

服を差し出せば、椿は緩く首を振る。
それでも引かないジーノを見て、椿はひどく傷ついた表情をしながら、服を受け取った。それをシャワーも浴びずに着て、慌しく部屋から出ていく。

「ごめんね、バッキー」

閉じた扉を見つめながら呟く。

椿に幸せになってほしいと思う。そのために自分は必要ないのだ。
だから、さよならだよ、バッキー。
PR


1パンチ
design&photo by [Aloeswood Shrine / 紅蓮 椿] ■ powerd by [忍者BLOG]
忍者ブログ [PR]
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
master
田中 塩
about
よろず文字書きサイト。
腐要素あり。マイナー上等。
よろしくおねがいします。
Web Clap
拍手お礼                   7/5 米ハピバ小話一つ。
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析