好きなものを好きなだけ
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04です。いつもに増して王子がひどい男です。むん。
あとぬるいですがR-18です。 王子様を手に入れる方法 (4.さよなら) その日は、めずらしくジーノが椿を待っていた。 いつもなら、椿がロッカールームや駐車場でジーノを待つのが常だったが、今日は出ようとしたところで、椿が達海に捕まってしまったのだ。おそらく、今日のパスミスのことで説教でもされるのだろう。 焦ったようにこちらを見つめる椿に、駐車場で待ってるから、と告げたのが一時間前。 (そろそろ帰っちゃおうかなぁ)などという思いが出てくるのも当然だろう。けれども、エンジンに手をかける気には不思議とならなった。 椿はどんな顔して出てくるのだろう。青い顔して、泣きそうになりながら飛び出してくるだろうか。そう考えるともう少し待っててあげてもいい気がした。 それから十分ほどたっただろうか。想像どおり椿が慌てた様子で、クラブハウスからこちらに駆けてくるのが見えた。そんなに慌てなくてもいいのに、くすくす笑いながらエンジンをかけようとした時、椿の足が止まった。 ファンの女の子が出てきたのだ。突然3人の女の子に囲まれて椿は戸惑っているようだが、それでもサインや握手を求められ、どこか嬉しそうな様子で応えている。 3人のうちの1人は本当に椿のファンの様で、今にも泣き出しそうな真っ赤な顔をして、何かプレゼントを渡している。なかなかかわいい子だ。小さくて、髪が長くて、子リスみたいな瞳をしている。 きっと椿と並べば、しっくりとくるカップルに見えるだろう。 そう想像して、ジーノの胸の中に湧いたのはなぜか罪悪感だった。 もしこの時抱いたのが、ただの嫉妬であったのなら、椿も、そしてジーノも救われただろう。 「そろそろ潮時かな」 女の子たちに手を振って、こちらへ向かってくる椿を見つめながらジーノはそっと呟いた。 「んっふっ」 腰を深く進めればくぐもった喘ぎが椿の唇からもれた。目の前の背中をそっとなぞる。指の動きにすら感じるのか、肩が ぴくぴくと跳ねた。今までのセックスで知った、椿の感じるところから微妙にずらしてゆったり腰を振る。 「あ、ぁ、意地悪、しないで」 「どうして欲しいの」 「もっと、激しく、あっ、してください」 椿は快楽に正直だ。というよりジーノがそう仕込んだという方が正しいだろう。曖昧な表現では、欲しいものなど手に入れられないということを、このベットの上で教え込んだのだ。 望み通り、強くイイトコロを抉ってやると、高い悲鳴のような声をあげ、あとはもう喘ぐだけだ。 ガクガクと揺れる腰に合わせて、椿の背中も揺れる。 「イッていいよ」 「や、あ、あぁ、あっ」 「ん……っ」 揺れに合わせて椿自身を握り、擦ってやれば、ビクリと身体を痙攣させ、あっけなく白濁を吐き出した。とたんに締め付けられ、たまらなくなり、ジーノは激しく突き上げ、そのまま椿の奥深くで果てた。 「さっき何もらってたの」 「え?」 まだベットの上でぐったりとしている椿に問いかける。 「さっき駐車場で女の子に何かもらってたでしょ?」 「あ、……見てたんですか?」 「まぁ、そりゃね。なかなかかわいい子だったね」 「え、あ、その」 気まずげに戸惑う椿をクスリと笑って、ジーノはベットサイドの水に手を伸ばし、ごくりと口に含む。 「飲む?」 「あっ、頂きます」 「バッキーはさ、女の子とセックスしたことあるの?」 「ぶ、ごっほ、なんす、か、いきなり」 椿が水を口に含んだのを確認してから問いかければ、彼は予想どおり激しくむせこんだ。 「その様子じゃ、なさそうだね」 「……う、うす」 顔を赤くして頷く椿を見て、再び胸に罪悪感が湧き出るのを感じる。 「バッキーはさ、いいの?このままで」 「え……?」 「女の子とのエッチって全然違うんだよ、やわらかくて、包み込まれる感じ。それを経験しないまま、男に突っ込まれてあんあん言わされてるなんて嫌じゃないの?」 「そんなこと……」 「きっと後悔するよ」 ないです、と椿が言うよりも早くジーノが断言する。 女の子と一緒にいる椿を見て、なんだか彼の未来が見えた気がした。 きっと椿は将来かわいい女の子と出会って、本当の恋をして、結婚して、幸せになるのだ。その時、自分との関係を椿はどう思うのだろう?汚点?消したい過去? くくっと口の中から乾いた笑いが漏れる。 もしかしたらその時、捨てないでくれと縋りつくのは自分の方かもしれない。 ならば、傷は浅い方がいいだろう。椿にとっても。そして、己にとっても。 「さよならしようか」 「え?」 ジーノの突然の言葉に、椿はサッと顔を青くする。 「や、嫌です。何でもします。何されてもいいです、やだ、嫌わないでください」 カタカタ震え、涙をこぼす椿を見て、ジーノは胸がズキズキと痛むのを感じる。 思ったより椿にはまってしまっている自分に少し驚く。このまま抱きしめて、何もなかったように再び抱き合うことだって可能だ。 それでも、 「シャワー浴びたら、帰りな。」 服を差し出せば、椿は緩く首を振る。 それでも引かないジーノを見て、椿はひどく傷ついた表情をしながら、服を受け取った。それをシャワーも浴びずに着て、慌しく部屋から出ていく。 「ごめんね、バッキー」 閉じた扉を見つめながら呟く。 椿に幸せになってほしいと思う。そのために自分は必要ないのだ。 だから、さよならだよ、バッキー。 PR |
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